2053年12月29日月曜日

当blogの主な内容

このページの目次

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■著作、講演

■アントロポゾフィー重要基本概念

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霊界お手ごろランドから霊界へ
『神秘学概論』1~3章
イマギナチオーン、インスピラチオーン、イントゥイチオーンについての小考察
エーテル体についての簡潔な説明
学童期におけるエーテル体の誕生
アストラル体の働き
意識魂と悟性魂の違い
自我の由来と「私」という呼称
死から再受肉の人間の様子
自我が地上に降りられる条件
シュタイナー思想での《意志》
意志は萌芽的
共感と反感
【重要】 さまざまな仲介をする《形象意識》
純粋思考
シュタイナーが指摘したカント認識論の問題点
分析的悟性と統合的理性

■ゲーテアヌムのステンドグラス

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    西赤

南緑      北緑

南青      北青

南紫      北紫

南ローザ   北ローザ

■文化期

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文化期について(後アトランティス)
エジプト期の人類の意識
ロマネスク文化に現れた意識
ルネサンス・・・自らの内に中心を感じる

■《四大元素》

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《四大元素》01、地水風火
《四大》と植物
《四大》とプラトン立体
水が陸地の形をつくる場合
水はどう動く、どう動きたい(水の本質的な動き)
《風》元素の重要な一性質

■算数・数学

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シュタイナー学校1~8年生の算数カリキュラム
九九の糸かけ
デューラー魔方陣の秘密
ちょっと不思議な魔三角陣
魔女の魔方陣 from 『ファウスト』
見える美と、シュタイナー教育が目指す見えない美
二乗数の美しさ
二乗数の中の二乗数=25
「マイナス×マイナス」、現象が消えるとき、拠り所は
成長点では黄金比の角度で新芽ができる
地球から金星を見た視線が残ったとすると
地球を中心として見た金星の軌道

■水彩

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アントロポゾフィー絵画が目指す《色彩からの造形》
低学年はなぜ《ぬらし絵》?
ヘルムート・フォン・キューゲルゲン氏の絵画授業の進め方
最初のぬらし絵「緑&黄より青&黄の方が美しい」
色の物語
助けによって互いが活きる
上から描くクリスマス・ツリー
植物の緑を描く
葉から花へ(描き残す)
自然認識と水彩:○を集めるタンポポ
自然認識と水彩:○○を集めるツバキ
自然認識と水彩:アブラナ
自然認識と水彩:アサガオの特質
自然認識と水彩:キノコの「魔女の輪」
色彩から描く、4年生の金魚
「幼児ぬらし絵の会」を始めるために
ぬらし絵の「色剥げ現象」

■動物学

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4年生の動物学エポックの指針
『教育芸術』第7講、イカは頭の動物
鳥(ワシ)は感覚系の動物
ライオンはリズム系が発達した動物
ウシは消化・代謝系がドミナント
バイオ・ダイナミック農法とウシの角
ウマでは○○の発達が全体を支配している

■植物学

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『植物メタモルフォーゼ』J.W.v.ゲーテ
ゲーテ・シュタイナー形態学の極意
植物エポックの指針、ゼミナール第10講
5年生の植物エポックについてのまとめ
5年生の植物エポック教材、コケ
シュタイナー「スミレは控え目」
シュタイナー「ナデシコはコケット」
自然認識と水彩:○を集めるタンポポ
自然認識と水彩:○○を集めるツバキ
自然認識と水彩:アブラナ
自然認識と水彩:アサガオの特質
自然認識と水彩:キノコの「魔女の輪」
シクラメンにとっての水
ドクダミの観察
シダ、トクサ、ヒカゲノカズラの関係性

■音楽

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シュタイナー教育、低学年の音楽でカギとなる「五度の雰囲気」
耳は音から空気を分離する

■手の仕事

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クロスステッチによるコースターづくり
フラードームによる家づくりエポック
ペンの考察・・・デザインとは

■お話の素材

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水晶の物語
世界でたった一本しかない花のお話
聖クリストフォルス(クリスト・オフォルス)2年生、聖人伝教材
梅の話(小学校低学年向け)

■芸術の見方

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南禅院・方丈庭園に見られる「人生」の比喩
クリュニュー美術館蔵『貴婦人と一角獣』展
川村記念美術館のレンブラント

■医学

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アントロポゾフィー医学を学ぶにあたっての当面のロードマップ
秘されたる人体生理、第1講
秘されたる人体生理、第2講
秘されたる人体生理、第3講
秘されたる人体生理、第4講
『私たちの中の目に見えない人間』解説01
旧約聖書に暗示された『見えない人間』
霊学の観点からの医術の拡張
霊学の観点からの医術の拡張(独&和)

2053年12月1日月曜日

『一般人間学』総合案内ページ

■『一般人間学』本文 

『一般人間学』、第01講
『一般人間学』、第02講
『一般人間学』、第03講
『一般人間学』、第04講
『一般人間学』、第05講
『一般人間学』、第06講
『一般人間学』、第07講
『一般人間学』、第08講
『一般人間学』、第09講
『一般人間学』、第10講
『一般人間学』、第11講
『一般人間学』、第12講
『一般人間学』、第13講
『一般人間学』、第14講

読み上げ音声ファイル・リンク
原文、全文のPDFへのリンク

■解説(一般人間学)

第03講要約(一般人間学)
第04講要約(一般人間学)
第05講要約(一般人間学)
第06講要約&一部解説(一般人間学)
第07講要約&一部解説(一般人間学)
第08講要約&一部解説(一般人間学)
第09講解説(一般人間学)
第10講解説(一般人間学)
第11講解説(一般人間学)
第12講解説(一般人間学)
第13講解説(一般人間学)
第14講解説(一般人間学)

■ 全14講の骨子

 (思考、感情、意志) × (霊、魂、体)の視点(一般人間学)

■個別の説明

▲霊の語意ch01 

霊界お手ごろランドから霊界へ・・・「霊」の語意
イマギナチオーン、インスピラチオーン、イントゥイチオーンについての小考察

▲文化期ch01

文化期について(後アトランティス)
エジプト期の人類の意識
ロマネスク文化に現れた意識
ルネサンス・・・自らの内に中心を感じる

▲人間の構成要素ch01 

エーテル体についての簡潔な説明
学童期におけるエーテル体の誕生
アストラル体の働き
意識魂と悟性魂の違い
死から再受肉の人間の様子
自我が地上に降りられる条件
自我の由来と「私」という呼称
呼吸の教育、『一般人間学』第一講との関連

■意志と表象ch02 

表象とは、また「表象が像的」とは?
シュタイナー思想での《意志》
意志は萌芽的
共感と反感
神経は反感的、血液は共感的

■その他の関連事項 

純粋思考ch03
本能:肉体、衝動:エーテル体、欲望:アストラル体ch04
シュタイナーが指摘したカント認識論の問題点ch05
【重要】 さまざまな仲介をする《形象意識》ch06
分析的悟性と統合的理性ch08

■レーバー解説(一般人間学) 

レーバー先生の要約/第01講
レーバー先生の要約/第02講
レーバー先生の要約/第03講
レーバー先生の要約/第04講
レーバー先生の要約/第05講
レーバー先生の要約/第06講
レーバー先生の要約/第07講
レーバー先生の要約/第08講
レーバー先生の要約/第09講
レーバー先生の要約/第10講
レーバー先生の要約/第11講
レーバー先生の要約/第12講
レーバー先生の要約/第13講
レーバー先生の要約/第14講

2016年2月7日日曜日

《感受》の意味

■元のドイツ語

感受=Empfndung の訳語です。

■《知覚》との違い

日本語ではなじみのない表現ですが、知覚にかかわることをより精密に描写するために、訳語として導入しています。
シュタイナーが「感覚知覚」について述べるときには、

  • Empfindung(エンプフィンドゥング)と
  • Wahrnehmen(ヴァール・ネーメン)の

二つを使います。

Empfindungは感受
Wahrnehmenは知覚、つまり、Wahr=真実、nehmen=取る、「真実として取る」という意味です。

ドイツでの《感受》の典型的な用例としては、春先にくしゃみが止まらなくなった人が、「私は花粉に感受的になっている」といったものがあります。
この場合、身体は花粉に反応しいていますが、花粉の存在を意識的に知覚してはいません。

ですので、

  • 《感受》=無意識な体的プロセス
  • 《知覚》=感受されたものが意識化されるプロセス

というニュアンスで捉えることができます。

ただし、シュタイナーも常に厳密に区別して使っているわけではありませんので、常に文脈から理解する必要があります。

また、感受と知覚の違いは『一般人間学』第07講では重要で、シュタイナーは「感受は思考的要素ではなく、意志的要素」と語っています。

■感受魂

『神智学』や『神秘学概論』では、人間は体、魂、霊の3つに分けられ、それぞれがさらに3つずつに分けられることが述べられている。その中で、人間の魂には3つの構成要素があり、その中で感覚的物質界に向かって開いているのが感受魂である。
また、霊界に向けての窓口となっているのが意識魂、見たこと感じたことに沿って考える部分を悟性魂と呼んでいる。

2016年2月2日火曜日

炭素についてのゲーテ自然科学的考察、『農業講座』第3講、第10段落以降

炭素は自然界におけるフォルム形成の担い手

炭素についてシュタイナーは「自然界におけるフォルム形成プロセスの担い手である」と言っている。この点は、炭を見れば簡単に納得できる。木材などを炭にすると、そこには完全な《フォルム》が残る。

竹炭に保存される細部の構造


維管束の構造がそのまま炭に繁栄されている


炭にフォルムが残る理由

植物はセルロースやリグニンなどでその形を保つが、そうした素材は「炭水化物」と呼ばれる。その基本ユニットであるブドウ糖の化学式はC6H12O6で、炭素を水化した素材と言える。この炭水化物を燃焼ではなく加熱すると、全体としては蒸発せずに焦げ、炭化する。分子内の《水》が蒸発するのである。
セルロースの分子構造


デンプン(アミロース)の分子構造

ご飯を炊く様子を思い起こしてみる。
1.    米と水とを同時に加熱する。
2.    水がしだいに蒸発して少なくなり、同時に米のデンプンが変化する(お粥、あるいは固いお粥)。
3.    さらに加熱していくとご飯の周囲にある水がほぼなくなる。(炊けたご飯)。
4.    さらに加熱すると、ご飯の内部の水分も蒸発する。(干からびたご飯)。
5.    さらに加熱すると、デンプン内の酸素原子と水素原子が水となって蒸発していく。(焦げ)。
6.    十分に加熱すると、デンプン内から酸素原子と水素原子が完全に失われる。(炭化)。
しかし、ここでもフォルムは保たれる。まさに「フォルム形成の担い手」なのである。
こうしたことがおきるのは、炭素の昇華点が3642と非常に高いからである。
余談:炭素が液化するには高温高圧が必要で、地上では液化することはない。

人間のフォルム

人間の姿については常識的な考え方がある。つまり、骨格があり、そこに筋肉や脂肪が付き、それを皮膚が覆って人間の姿になっているというイメージである。
しかし、アントロポゾフィーでは異なった観方をするし、私はそちらの方が正しいと考えている。つまり、「人間の姿はまず熱で作られる」のである。つまり、固いものが柔らかいものの形を決めるのではなく、柔らかいものが形をつくり、それが次第に硬化していく。
例としては、子どもの骨格形成を挙げられる。幼児においては骨格はまだ十分には硬化しておらず、軟骨状態である。そこに炭酸カルシウムやリン酸カルシウムが沈着して硬骨が作られる。
このことを地水風火の次元で敷衍していくと、人間はまず熱によって形づくられることになる。大人ではさまざまな要因が加わりそれほど明確ではないが、小学生くらいの子どもではこうしたことの状況証拠が見つかる。がっちりと厚みのある手はほぼ温かく、細く骨っぽい手は冷たいことが多い。 

熱の担い手

熱を指先まで運ぶのは、血液である。つまり、血液の流れに沿って人間のフォルムが作られると言ってもよいだろう。そして、シュタイナーの認識ではこの血液が自我の担い手である。つまり、「自我が血液を介して熱によって人間フォルムを作り上げている」と言うことができる。
さて、痛風などでは身体が変形する症状が知られているが、これをシュタイナーは「自我の力が末端まで行き届かなくなることで変形が生じる」と言っている。
人間における熱の流れは非常に興味深い問題であるが、ここではこれ以上は触れない。

軟骨から骨(硬骨)へ


軟骨の主成分の一つであるコンドロイチンの分子構造を見ると、基本的に多糖類であり、デンプンと類似していていることがわかる。軟骨も原理的には加熱していけば炭素が残り、そのフォルムが保たれるはずであるが、現実には炭素分が少なく、フォルムが残ることはないと思う。いずれにしても、軟骨のフォルムは炭素によって作られると考えてよいだろう。そして、このフォルムにそってカルシウムが蓄積され、硬骨に変っていく。
これによって炭素は《支え》という役割から解放される。植物における第一の《支え》である細胞壁のセルロースはすでに死んでいることを考えると、人間や動物では、炭素が生命の領域で活動し続けることができている。この点をシュタイナーは「人間や動物では、一時的に支えの役割を担う」と表現している。



『農業講座』第4講関連事項の解説


目次

  • 堆肥づくりのまとめ
  • 悪臭、良香の考え方
  • ピート(ミズゴケ)
  • 牛角(調合剤500番関連)
  • 枝角(調合剤500番関連)
  • 雄牛の角(調合剤500番関連)
  • 口蹄疫(調合剤500番関連)
  • 牛糞(調合剤500番関連)
  • 調合剤501番(石英粉末と牛鞘角)
  • ケイ酸成分を含む種々の素材の比較

●堆肥づくりのまとめ


  • 《地》的なものは、地下よりも地上部でより生き生きするので地表より高いところで堆肥にする
  • .植物は周囲のエーテル力を取り込んでいる。したがって、農業には大地の持つエーテル力が重要である。

という二点である。
第1講、第2講でシュタイナーは《地水風火》について、どれが地上部と地下部のどちらでより生きていて、どちらでより死んでいるかを述べている。それによると《地》は地下では死に、地上部では命を持つと言っているし、それを前提にすると堆肥を通常の地表より高い部分で作るのは理にかなっている。

●悪臭、良香の考え方

シュタイナーは、生命力に満ちたものは内側に悪臭を秘めている、と述べている。これで思い浮かぶのは、人間や動物の腸ではないだろうか?腸が内部に悪臭をため込んでいることは明らかである。また、下痢をするとやや後に身体パワーの低下を感じる。したがって、腸が私たちのエーテル的な力の源であると考えても不思議ではない。
ここで生命力がなぜ悪臭なのかを考察してみよう。基本は、エーテル的なものとアストラル的なものの関係である。エーテル体は生命力の源であるし、アストラル体は意識の基盤であり、知覚をつかさどっている。しかし、この両者はある意味で敵対的な関係にある。つまり、意識(アストラル)は生命力(エーテル)を食いつぶすことで成り立っている。ロウソクの炎が蝋を食いつぶすことで輝くようにである。それゆえ人は、16~18時間、目覚めているとエーテル体がある程度食いつぶされ、意識を保つことができなくなる。そして、意識を失った睡眠時に再び生命力を回復するのである。また、生命的活動が活発になると、たとえば満腹時、妊娠・授乳期、感冒罹病期、骨折回復期、等々では、非常に眠くなり、意識を保つのが難しくなる。つまり、エーテル的活動が優位になると、アストラル的活動(意識)は退くのである。
また、アストラル体の主要な働きは《知覚》である。これを前提に考えると、知覚(アストラル的なもの)にエーテル的なものが近づくと、それは知覚にとって敵対的、つまり不快なものである必要がある。それゆえエーテル的働きが活発な堆肥づくりでは《悪臭》を放つのである。
逆に、アストラル的なものがエーテル的なものの中に侵入してくるとどうなるだろうか。これが人間生体で生じると、それは痛みになる。なぜなら、知覚的なものがより強く肉体に入り込んでくるからである。また、これが植物で生じると、毒草になるという。そしてシュタイナーは痛みに対しては毒草が有効であると述べている。つまり、アストラルがエーテルへの深く侵入しすぎている状態が人間と植物で感応している。
しかし、アストラルとエーテルの関係はこれだけではない。アストラル的なものがエーテル的なものをコントロールし、たとえば動物や人間の身体を適切なフォルムにつくり上げる。植物では、アストラル体は内には持っていないものの、外からのアストラル的刺激によって、成長の仕方を変える。たとえば、葉が繁茂する時機と花が咲く時機ではアストラル的働きかけが異なる。

まとめ

  • エーテルとアストラルは互いを排除する部分がある
  • 命に関係するエーテルにとってアストラルの進入は痛みであり、植物では毒
  • 知覚に関係するアストラルにとってエーテルは不快(悪臭)なもの


●ピート(ミズゴケ)

積んだ堆肥内部にある生命力を逃がさないために、シュタイナーはピートで覆うことを推奨している。
ピートの主要な素材であるミズゴケをゲーテ的に考察すると理解できるので、その概略を紹介する。
ミズゴケは主に高層湿原に生育する。ちなみに、《高層湿原》とは「標高の高いところにある湿原」ではなく、湖底から堆積したミズゴケなど層になり、湖がしだいに浅くなり、やがてはミズゴケが湖面よりも高く(高層化)なった状態を指す。この場合、ミズゴケは何百年、何千年も腐らず、わずかな変化を受けるだけで保存されている。であるから、高層湿原でピートになったミズゴケは《保存力》を持つ。シュタイナーはその保存力をこの堆肥作りで利用している。
後になって、ハウシュカ博士らはこのミズゴケピートから、外からの攻撃から生体を守る薬を開発した。その薬は、物理的な傷だけでなく、心理的なストレスなどに対しても、そこから生体を守る効果があると分かっている(Solum Oilなど)。

ここまでのシュタイナーのアドヴァイスをマニュアル的にまとめると、

  • 肥料には堆肥がよい
  • エーテル的力を逃がさないために、積んだ堆肥をミズゴケで覆う
  • エーテル的力が強すぎる場合には石灰を用いる

となるだろう。

●牛角(調合剤500番関連)

まず、牛の角は皮膚が変形(硬化、強化)されたもので、「強められた皮膚」と考えることができる。そして、皮膚についてシュタイナーは『秘されたる人体生理』の第5講で、「内部の力がそこで終わる地点」と特徴づけている。農業講座では、鞘角についてその作用がさらに強まっていることを表現している。「鞘角においては、内側の諸力が外に漏れず、内側に跳ね返される」のである。
ウシの角とシカの枝角については Ch04 ウシの角 を参照されたい。

●枝角(調合剤500番関連)

鹿の枝角とウシの鞘角では、頭部からの硬い突起という共通点はあるにしろまったく違っている。
雄鹿の枝角は、毎年、2月頃から伸び始め、7月頃まで成長する。その成長の間は、袋角と呼ばれる皮膚に包まれているが、成長が終わると剥がれ落ちる。その際には、まだ少量の血液が残っているために、枝角が血で真っ赤に染まっている。そして、最後に残るのが骨から成る枝角である。その枝角も、特に切らなくても1月には自然に落ちてしまう。

しかし、この鹿の枝角が成長する様子はしっかりとイメージしてみてほしい。雄の鹿は体重はほぼ人間の男性並の50kgから130kgだと言う。そこから、半年間で立派な枝角が成長する。これは内から外へのもの凄い生命力ではないだろうか?そして、夏にはその骨、つまり身体中心部の芯と同じ素材のものが、死んだものとして外に剥きだしになる。内にあったものが外に出て来るし、その形は外に向けて広がっている。そして、最終的には外の世界に吸収されてしまう。このしぐさの中に、「内側のものすごい生命力が外に流れ、そこで死へのプロセスをたどり、外の世界とつながろうとしている」動きを見て取れないだろうか。

●雄牛の角(調合剤500番関連)

講演に続く質疑応答の中でシュタイナーは調合剤用には「雌牛の鞘角に限る」と言っている。雄牛の鞘角ではいけない理由を考えてみよう。

これは体内での代謝活動を考えればわかる。


雌牛の搾乳量は、多いもので1日20l、年間では7トンにも達する。それに伴い雌牛は1日に100lの水を飲み、1lの牛乳を作るためには、300l~500lの血流が必要だと言われている。つまり、牛乳1日分に約6~10トンの血流が必要である。これだけの力を内に止めておくための装置が雌牛の鞘角であり、蹄である。それに対し、雄牛の内部代謝はどれくらいであろうか。草食動物としては、特に繁殖期ではやや攻撃的な性格を示す。これは力すべてが内側の代謝に向けられているとは言えず、外に向かっていることを示している。

●口蹄疫(調合剤500番関連)

口蹄疫は、主に偶蹄目の動物が感染する病気で、2010年には宮崎県で被害が広がり、問題になった。現在ではその原因はウィルス感染とされている。基本的症状は、動物の元気がなくなり、牛だと搾乳量が極端に減るのだそうである。また、蹄付近に水疱ができ、蹄の温度もとても高くなるという。

さて、偶蹄目に属する動物を挙げると、牛、羊、豚、山羊、鹿、キリンなどである。そして、これらの動物の特徴を一言で言ってしまえば、「信じられないくらい旺盛な生命力」である。乳牛ではそれがミルクという形で現れるし、羊では羊毛、豚では肉や脂肪、雄シカでは枝角、雌シカでは毎年の出産といった形をとる。つまり全体に、内部で活発に活動し、内部の力を何かにため込む傾向がある。そして口蹄疫では蹄が弱ってくることと、元気がなくなることが、同時に症状として現れる。つまり、内側の力を堰き止めている蹄が弱り、そこでの活動が活発になり(蹄が高温)、内部の活性が弱まることが相互に関係している。この病態をシュタイナーは「本来、内部で働くべき諸力が弱った蹄から外に流出している」とみるのである。

  • 牛の鞘角には、「内なる諸力を内に保つ」という本質があるとわかる。

●牛糞(調合剤500番関連)

牛糞は大量で、黒くぬかるみくらいのドロドロである。放牧された牛の体内で起こることをイメージしてみよう。草原に生えるさまざまな草が、それらが持つ生命力と共に、まさにその草原の配合でミックスされ、取り込まれる。これはまず約200lの大きさのルーメンと呼ばれる胃に入る。ここでは消化液は出ないが、多くの微生物が共生していて、植物を分解している。この作用は、大地に落ちた葉が腐葉土になっていく際に受ける作用と非常に似ていると言えるだろう。そして、消化管全体では大量の水分(消化液1日100l)でホメオパシー的にポテンタイズされている。さらには、牛の体内を50mの腸を含め通ってきているから、そこで動物的作用、つまりアストラル的作用も受けて糞になって出てくることになる。

草食動物でも、ヤギやウサギの糞は、大豆大の粒でポロポロとかなり乾燥した感じである。馬の糞は、大福大でやはりポロポロした感じである。多種の植物を食べ、そこに水的なものと共にエーテル的なものを残し、しかも動物内の長い管を通ってきた糞、という点で考えると、牛の糞がいかに特別かが理解できると思う。

このように内側にエーテル的、アストラル的な力に満ちた牛糞を、外に力を逃がさないカプセル、つまり牛角に詰め、大地の活動が豊かな冬の間、50cm~75cmの深さに埋める。するとそこに、エーテル的・アストラル的諸力が凝縮されることになる。冬には大地の持つ力が最も活性化していて、さらには結晶化の力も最も強く、いわば大地全体が「内に向けて」作用している。
牛糞に蓄えられた力が、周囲の大地の力も引きつけ、力を堰き止める牛鞘角で覆われているために、すべてがそこに集約される。

さて、牛糞の元は植物であり、腐植土と似た性質を持つと思われる。これを宇宙的諸力と地上的諸力という観点で見れば、牛糞は地上的な力との親和性が高いはずである。そして、宇宙的諸力はケイ酸が受け取るので、この500番(牛角糞)プレパラートを地中に埋める際には、宇宙的諸力が強すぎないことが望ましい。こう考えると、地中に埋めるにあたってシュタイナーが「土壌が粘土質すぎたり砂地でありすぎたりしない場合には」と言った意味が理解できる。つまり、「地中に宇宙的な力ばかりではない状態」が望ましいのである。

こうして作られた調合剤は、《水》要素、《土》要素にしっかりと馴染まされる。水と混ぜる際にもシュタイナーが「水と根本的に結びつける必要がある」と表現しているのが印象的でした。

●調合剤501番(石英粉末と牛鞘角)

501番は、石英、長石などを粉砕して作る。このことから、成分としてはケイ酸が重要である。宇宙的なものと親和性を持つ素材である。これを固体から粉砕して粉末にし、水を加えて粥状にする。このプロセスは固体=《地》から粥状=《地+水》への変化と捉えることができる。
そして、この粥状のものを牛角に詰め、夏の間地中に埋める。つまり、大地の力が外に向かって出ていく時期に地中に置くのである。これによって、《拡散的力》が集約されると考えることができるだろう。
地中から取り出した501番も水と一体化させる。さらにシュタイナーは散布方法にも「霧のように」と指示している。霧というのは《水》と《風》の複合体と考えることができる。つまり、501番が作られるプロセスでは、《地》から《地+水》、さらに《水》、そして《水+風》としだいに軽くなる方向、つまり拡散的方向が重要な意味を持つ。

●ケイ酸成分を含む種々の素材の比較

ここで、ケイ酸を成分とする、岩、石、砂、粘土、501番調合剤を比較してみよう。

  • 岩や石:シュタイナーは宇宙的な力を引きつけると述べている。
  • 砂:粒が粗く、《地》的なケイ酸と見ることができる。砂によって宇宙的諸力を地下に保つことができ、地下部を食べるジャガイモの栽培などに適している。
  • 粘土:宇宙的な力を地上部に導く作用を持つ。それゆえ、地上部を食べる農作物によい作用がある。ちなみに、粘土とはケイ酸質の微粉末に水が加わったものである。それゆえ、粘土を整形し、風乾燥させ、さらに高温で焼くとガラス質(ケイ酸)の瀬戸物になる。言い換えると粘土とは《ケイ酸》+《水》エレメントであり、これが宇宙的な力を地下から上に導く。
  • 501番:これは《ケイ酸》+《水》+《風》エレメントであり、それゆえ宇宙的な力をさらに上方に引っ張り上げる。それゆえ、特に種子を作る作物で有効であるとシュタイナーは言っている。

ケイ酸(宇宙的諸力の伝達体)を地水風火の視点で整理したのは森章吾のオリジナルであるが、シュタイナーが元々言っていたことを違うつながりで整理しただけである。これによってシュタイナーの思考法が若干でも理解できるようになると思うし、そこでは《地水風火》が重要な位置を占めることも理解できるはずである。