2014年8月27日水曜日

呼吸の教育、『一般人間学』第01講との関連

■死へのプロセスで支えられる意識

アントロポゾフィーの認識では、人間の目覚めた意識には次の2段階があります。

  1. アストラル体の働きによる《意識》
  2. 自我の働きによる《自我意識》

この意識が成り立つためには、《生から死へのプロセス》を必要とします(ここでは、説明は省略します。詳しくは『霊学からの医術の拡張』をご覧ください)。つまり、私たちの意識は、体内で何かを殺すことで成り立っています。これを私はしばしばロウソクの炎に喩えます。ロウという物質を殺しながら光を放つ炎を維持しているのです。

■子どもの成長における意識と呼吸

上述の二つの意識のどちらが先に芽生えるかは、やはりアントロポゾフィー的な観察からわかります。子どものアストラル体は、12歳から14歳ごろに一部開放され、自我は二十歳前後で自立します。つまり、1.のアストラル体の働きによる《意識》が先に芽生え、後の自我意識を準備します。
そして、この解放されたアストラル体は呼吸と密接に結びついています。(『私たちの中の目に見えない人間』)

■身長が伸びきると思考がさらに目覚める(経験的観察事項)

さて、子どもの成長では、第二伸長期に急激に身長が伸び、それが一段落すると、私が観察した例では数学的思考力が格段に成長した事例を観察したことがあります。

■身体内の炭酸の由来と行き先

生体内の炭酸の由来は、すべて食物に含まれる炭素元素です。たとえば、デンプンが糖に分解され、糖のかたちで腸内で吸収され、その糖が有機酸を経て炭酸にまで分解されます。

この炭酸は肺から排泄されるだけと考えられることが多いですが、一部はカルシウムと結びつき、骨の成分である炭酸カルシウムになります。

その意味で、血液中の炭酸は生体活動に関与しうる生きた素材です。これが肺で二酸化炭素という気体に変りますと、命を失うと述べられています。
つまり、血中炭酸⇒大気中二酸化炭素というプロセスは生から死へのプロセスでもあるのです。この生から死へのプロセスが思春期での意識の半目覚めの生理的基盤になります。それゆえ、血中炭酸を骨形成に用いている期間は、意識の半目覚めの基盤が弱いことになります。そしてこれが、『一般人間学』の第1講で「(7歳から14歳の)子どもの教育では呼吸が重要だ」、とシュタイナーが述べていることの根拠の一つであると考えられます。

■要約

  • アストラル体を基盤とする意識は思春期に目覚める。
  • その意識の基盤は、呼吸における炭酸から二酸化炭素への変化、言い換えると炭酸の死化プロセスである。
  • 伸長期には炭酸は骨形成にも用いられ、死化プロセスが十分でなく、意識の半目覚めに到らない。
  • 呼吸における死化プロセスが進んでいく7歳から14歳にかけて、呼吸の働きが魂的働きと結びつくように導く必要がある。

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