2016年2月2日火曜日

炭素についてのゲーテ自然科学的考察、『農業講座』第3講、第10段落以降

炭素は自然界におけるフォルム形成の担い手

炭素についてシュタイナーは「自然界におけるフォルム形成プロセスの担い手である」と言っている。この点は、炭を見れば簡単に納得できる。木材などを炭にすると、そこには完全な《フォルム》が残る。

竹炭に保存される細部の構造


維管束の構造がそのまま炭に繁栄されている


炭にフォルムが残る理由

植物はセルロースやリグニンなどでその形を保つが、そうした素材は「炭水化物」と呼ばれる。その基本ユニットであるブドウ糖の化学式はC6H12O6で、炭素を水化した素材と言える。この炭水化物を燃焼ではなく加熱すると、全体としては蒸発せずに焦げ、炭化する。分子内の《水》が蒸発するのである。
セルロースの分子構造


デンプン(アミロース)の分子構造

ご飯を炊く様子を思い起こしてみる。
1.    米と水とを同時に加熱する。
2.    水がしだいに蒸発して少なくなり、同時に米のデンプンが変化する(お粥、あるいは固いお粥)。
3.    さらに加熱していくとご飯の周囲にある水がほぼなくなる。(炊けたご飯)。
4.    さらに加熱すると、ご飯の内部の水分も蒸発する。(干からびたご飯)。
5.    さらに加熱すると、デンプン内の酸素原子と水素原子が水となって蒸発していく。(焦げ)。
6.    十分に加熱すると、デンプン内から酸素原子と水素原子が完全に失われる。(炭化)。
しかし、ここでもフォルムは保たれる。まさに「フォルム形成の担い手」なのである。
こうしたことがおきるのは、炭素の昇華点が3642と非常に高いからである。
余談:炭素が液化するには高温高圧が必要で、地上では液化することはない。

人間のフォルム

人間の姿については常識的な考え方がある。つまり、骨格があり、そこに筋肉や脂肪が付き、それを皮膚が覆って人間の姿になっているというイメージである。
しかし、アントロポゾフィーでは異なった観方をするし、私はそちらの方が正しいと考えている。つまり、「人間の姿はまず熱で作られる」のである。つまり、固いものが柔らかいものの形を決めるのではなく、柔らかいものが形をつくり、それが次第に硬化していく。
例としては、子どもの骨格形成を挙げられる。幼児においては骨格はまだ十分には硬化しておらず、軟骨状態である。そこに炭酸カルシウムやリン酸カルシウムが沈着して硬骨が作られる。
このことを地水風火の次元で敷衍していくと、人間はまず熱によって形づくられることになる。大人ではさまざまな要因が加わりそれほど明確ではないが、小学生くらいの子どもではこうしたことの状況証拠が見つかる。がっちりと厚みのある手はほぼ温かく、細く骨っぽい手は冷たいことが多い。 

熱の担い手

熱を指先まで運ぶのは、血液である。つまり、血液の流れに沿って人間のフォルムが作られると言ってもよいだろう。そして、シュタイナーの認識ではこの血液が自我の担い手である。つまり、「自我が血液を介して熱によって人間フォルムを作り上げている」と言うことができる。
さて、痛風などでは身体が変形する症状が知られているが、これをシュタイナーは「自我の力が末端まで行き届かなくなることで変形が生じる」と言っている。
人間における熱の流れは非常に興味深い問題であるが、ここではこれ以上は触れない。

軟骨から骨(硬骨)へ


軟骨の主成分の一つであるコンドロイチンの分子構造を見ると、基本的に多糖類であり、デンプンと類似していていることがわかる。軟骨も原理的には加熱していけば炭素が残り、そのフォルムが保たれるはずであるが、現実には炭素分が少なく、フォルムが残ることはないと思う。いずれにしても、軟骨のフォルムは炭素によって作られると考えてよいだろう。そして、このフォルムにそってカルシウムが蓄積され、硬骨に変っていく。
これによって炭素は《支え》という役割から解放される。植物における第一の《支え》である細胞壁のセルロースはすでに死んでいることを考えると、人間や動物では、炭素が生命の領域で活動し続けることができている。この点をシュタイナーは「人間や動物では、一時的に支えの役割を担う」と表現している。



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