2016年2月1日月曜日

『農業講座』第6講、要約

▲自然という枠内での雑草、害虫害獣、いわゆる植物病などの本質

■06-01

ここでは、雑草、害獣、害虫、いわゆる植物病について霊学的に考察する。

雑草について

■06-02

「自然状態ならそこに生育するにしろ、意図しない植物を特定の圃場からどのように排除するか」を考える。

■06-03

植物成長に作用する諸力には、 ・宇宙由来で、大地を経由して植物に伝わる力 ・植物が元来持つ力 があり、両者を区別する必要がある。 水星、金星、月からの諸力は、直接に作用するのではなく、大地、特に石灰を経由して作用する。 これは植物自体の自己保存的な力として作用する。 それに対し、土星、木星、火星の諸力はケイ酸作用と関係しつつ、大気(上方)から作用する。 こちらは、植物を食する動物や人間のための力となるように作用する(01-26)。

■06-04

ブドウネアブラムシ(フィロキセラ)が発生する条件を考える。

■06-05

図で金星、水星、月の作用は大地に反射し、下から上に作用する(白)。 これは植物に一年以内での成長と種子形成(生殖力、世代交代的なもの)において作用する。

■06-06

これに対して地面より上の道筋でやって来るものは、外惑星の諸力である。 植物の周囲に広がる部分、太く豊かになる部分、栄養物として収穫する部分(果肉など)に連続的な流れで常に新しく形成される。 植物の成長をコントロールするには、これらの諸力を考慮する以外には方法はない。

■06-07

雑草(しばしば強力な薬草でもある)には、月作用が非常に強く作用している。

■06-08

月は通常、太陽光を反射すると知られている。 月からはこの太陽からの反射光だけでなく、月が地球から分離したとき以来の月の諸力も含まれている。 この月の諸力はまさに地上的なものを強める。 ●月と地球が一体だった頃 ・地上的なものは今より活き活きとしていて、実りをもたらした。 ・現存する強力な鉱物的存在はなかった。 ●地球からの月の分離後 地球の通常状態は生物の《成長》にはちょうどよい。 その力が月によって強められることで、《成長》から《生殖》にまで高められる。

■06-09

《成長》においても《生殖》においても作用する力の質は同じ。 《成長》とは細胞から細胞が生じる弱い生殖と言える。 地球自体の力は、《成長》にはちょうどよいが、《生殖》のためには力不足で月の作用が必要である。 植物の種類によっては水星や金星の諸力も必要とする。 月は太陽光だけでなく、全宇宙を反射して地球に作用する。 月から植物への宇宙的な放射には、強い組織化の作用があり、成長力が生殖力へと高められ、種子が発達できるようになる。

■06-10

この力は新月では皆無で、満月時にだけ作用する。 古代インド人は十九世紀まで月齢に沿って播種をしていた。発芽力への月の作用を研究して播種に応用すると、価値があるだろう。 播種や収穫に際して月を軽視しても、満月は年に十二回あるので被害はさほど大きくない。

■06-11

このままでは成長をコントロールする諸力を掌握していないので、雑草も繁茂する。 ここでポイントは、満月の力は植物の再生産、つまり生殖に作用するという点である。 根から種子形成へと突き上がっていくものに月の力が作用する。 この恵み深き月の力がきちんと作用すると、最高の雑草が得られるし、 雨が多く月の力が強く作用する年は、雑草がさらに繁茂する。 ここで宇宙的諸力を考慮する。

■06-12

雑草に月の作用が届かないようにすれば、雑草の生殖力を制限でき、雑草は増殖できない。 月を消すことはできないので、月の作用を受け取れないように大地に働きかける。 また雑草が成長したがらないようになるよう、何らかの方法で土壌に手を加える。

■06-13

・雑草の生育を観察し、成長力が終点にまで達したその種子を集める。 ・火で(できれば薪の炎)この種子を燃やし、少量であっても灰を丁寧に集める。 ・種子は月の諸力を引き付けることで育ったが、それを焼いた灰には、その力への対抗力が集約されている。 さまざまな雑草の種子からつくったこの灰のプレパラートを圃場に散布する。その作用は広範囲で、特に丁寧に作業する必要もなく、翌年には対象の雑草が非常に少なくなっていることがわかる。 自然界では多くのものが四年サイクルなので、このプレパラートを撒くと対象の雑草は四年後には圃場から姿を消す。

■06-14

これは微少でも作用する。

■06-15

微少で作用するものを現代では誰も信じないが、かつては用いられた手法である。 現代では追試を求められるが、それならばこれを追試すればよい。 この正しさはすぐに示される。 霊学的真理は(数学の証明のように)それ自体によって真理であり、実証は必要ない。 科学者は外的方法で真理を検証すべく、外的な方法ばかりを見るという誤りに陥っている。

害獣の害の防止

■06-16

雑草についてはこうした一般論で語れる。 しかし、害虫や害獣については一般論ではそれほど強くは語れない。

■06-17

野ネズミを取り上げる。 毒、細菌感染など人は野ネズミ退治には手段を択ばないし、国家まで動くことすらある。

■06-18

これらの方法は外からのコントロールであり、駆除はできず、ネズミは何度でも戻って来る。 霊学的な方法もある。 これは農家が連帯するとより有効だが、単一の農場でも無意味ではない。

■06-19

かなり若い野ネズミを捕まえて皮を剥ぐ。 しかも、野ネズミの皮を金星がちょうど蠍座に来たときに剥ぐ必要がある。 植物界に関することは、惑星系の範囲内で事足りたが、動物の問題では獣帯が重要になる。

■06-20

植物の繁殖では月の作用で事が足りた。 しかし動物界では月の作用加え、金星の補助が必要である。 動物界は月の諸力を内に持ち、月そのものからは自立しているので、月の影響は受けず、満月以外のときにも月の力が発揮される。 しかし、動物は月以外の諸惑星の諸力を内には持っていないので、それに向けて対処することができる。

■06-21

金星が蠍座に来たときに数匹のネズミの皮を剥ぎ、それを燃やし、その灰を集める。 火によって消滅させるとその灰の中には、野ネズミの生殖力に対する負の力が残る。 この灰を圃場に撒くだけでよい。 量は僅かでよく、ホメオパシー的希釈度でよい。 効力は広範囲に及ぶが、近隣でも同様にすると効果は間違いなく顕著なはずである。 これを通して友好関係ができるかもしれない。

■06-22

このやり方で、迷信ではなく、星の作用を活用できる。 高等動物ではこうしたやり方をするが、昆虫はまったく別な宇宙作用を受けているので、別な方法を採る。

線虫(昆虫)の害

■06-23

根線虫(ネマトーデ)を例に説明する。 外的兆候は、枝根の膨張と朝の萎れた葉である。 兆候が現われる葉では宇宙的作用を空気を介して受け取り、根では地を介して取り込んでいる。 ここで線虫が発生すると、本来、葉の領域で生じるべき宇宙的諸力の吸収プロセスが、下方の根の領域に降りてしまう。

■06-24

模式図で表わすと、上方に作用すべき宇宙的諸力が、線虫が寄生した植物ではこの下方に降りている点が本質的である。 ここから、すべての外的兆候が生じる。 これによって線虫は、生きるために必要な宇宙的諸力を地中で手に入れられるようになる。 線虫にとって必要な《宇宙的諸力》と《地中環境》の二つが揃う。

■06-25

一般に、ある生存環境範囲内でしか生物は生きられない。 ところがこうして線虫の生存環境が整う。

■06-26

線虫の仲間の生物にとっては、通常、地上で作用する宇宙的諸力が地中に入り込む必要があり、この宇宙的作用は四年周期である。 四年周期は甲虫の幼虫にも見られる。 この宇宙的諸力はジャガイモを発芽させ、成長を促す能力を大地に与えるものでもある。

■06-27

ネズミでは皮だけを用いたが、昆虫では全身を用いる。 根に対し害を及ぼす昆虫は、その身体全体が宇宙的作用の産物だからであり、大地は単に昆虫にとってのベッドに過ぎない。 昆虫全体を焼く。 腐敗させてもよく、より根本的なものが得られるが、腐敗物質を集めるのは困難なので、全体を焼くだけでも効果がある。 乾燥保存した昆虫を焼いてもかまわない。 ただし、星位はネズミの皮を焼く時(蠍座に金星)とは正反対で、牡牛座に太陽があるときに焼く。 太陽は昆虫界と関連する諸力を、太陽が水瓶座から、魚座、牡羊座、牡牛座、双子座、蟹座までの間に放射し、獅子座から山羊座では弱くなる。

■06-28

知られてはいないが、太陽は非常に特殊である。 太陽が牡牛座から光を送るか、蟹座から送るかでは違いがあり、本来、牡羊座の太陽、牡牛座の太陽、蟹座の太陽、獅子座の太陽などと表現した方がよい。 太陽は年周運動や日周運動、あるいはその複合作用で、その時々でまったく別の存在である。 《昆虫灰》をテンサイ畑に撒くと線虫はしだいに衰退し、四年後には確実に線虫類が減る。 その土地での生育を嫌い、生きられなくなる。

■06-29

現代の天文学は数学的位置関係を示すものにすぎないが、こうしてかつての天文学が活きる。

《水》と《火》の作用は正反対

■06-30

大地は、月と水の作用によって植物的生命を自ら生み出す能力を得る。これをは重要である。 しかし植物だけでなくすべての生物は、自己滅亡の萌芽を宿している。 《水》は実りを促進し、対極の《火》は生産力を破壊し根絶する。 植物的なもの(エーテル)は水によって生産性が高まるが、それを火によって適切に処理すると根絶的作用することができる。 種子は、月の力が染みこんだ水によって生産性を発展させ、月の力に浸された火によって破壊的作用を展開する。

■06-31

さらに見ると、時間的作用も加わることがわかり、このやり方は種子の力と同様に大きな拡散力があるとわかる。 これは生産力にも破壊力にも作用する。

植物の病気

■06-32

いわゆる植物病について述べる。 植物には真の意味での病気はない。 いわゆる植物病と言われる異常現象は、人間や動物の病気と同じではない。 アストラル体はエーテル体や物質体に入り込むが、病気ではアストラル体が健康状態のときよりも、エーテル体の十分な緩衝作用抜きに直接に物質体に入り込んでいる。 つまり病気とは動物や人間に特有なものである。 したがって、アストラル体を持たない植物では病気は存在しない。

■06-33

それではいわゆる植物病の原因は何だろうか。 前にも述べたように、植物の周りの土壌は特定の生命性を持つ。 地中の生命性は植物の形姿を現出させるほど密ではないが、それでも《成長力》としてある程度の密度を持ち、《生殖力》としても微かに痕跡を残す。 さらには地中の水が媒介する満月の作用力を受けた生命性が植物のまわりに存在する。

■06-34

大地があり、水に満たされた大地があり、月があります。 月は光を大地に送り込み大地を活性化し、エーテルを揺り動かすが、大地に水が浸透しているとそれが容易で、乾燥すると困難になる。 水は単に月の作用の仲介者で、本来、活性化されるべきは固体である《地》そのものである。

■06-35

さて、冬、そして春にかけても雨が多いと、地中の月の作用が強くなり過ぎ、大地が活性化され過ぎることがある。 月による大地の活性化が適正だと、植物は正常に生育し、種子を付ける。 種子ができあがるのにふさわしいくらいに大地の生命性が上昇して来る。

■06-36

月の作用が強過ぎ大地が過度に活性化されると、下から上への生命力作用が強過ぎ、本来、種子形成で現われるべきものがそれ以前に現われてしまう。 活性力が強過ぎると、それが上には達せず、その密度ゆえにより下方で作用する。 すると種子形成に対し月の作用が不十分になり、種子が死への傾向を持ち、この死に向かう活動によって種子レベルに、地面と同様の働きを持つ、言わば第二の地表が形成される。 本来の地表では植物の種子が育つが、第二の地表では寄生生物や菌類が育つ。 黒穂病などのいわゆる植物病はこうした道筋で現われる。 結実の力は、月の作用が正常で強過ぎない必要がある。 奇妙な話だが、月の力が弱過ぎるのではなく強過ぎるために植物病が発生する。

■06-37

この場合、大地から過剰な月の力の負担を取り除けばよい。 つまり、過剰な月の力を大地に媒介するのは水なので、水から仲介力を奪い、大地に《地》的な力を与える作用を加える。 スギナ(Equisetum arvense)をかなり濃いお茶にしてからそれを薄め、黒穂病を予防したい圃場にごく微量、ホメオパシー的希釈度で液肥のように撒く。

■06-38

人体へのスギナの作用は腎臓機能へ迂回しつつ作用する。このことがスギナ茶でも関係する。 スギナ茶を器具も用いず簡単に散布すれば、わずかな量で広範に作用することを検証できるはずである。 植物は病気にならないので、これは本当の意味での治療薬ではなく、月作用によるプロセスの逆プロセスである。 動物の成長、さらには動物の正常や異常も後に考察するが、自然のさまざまな領域での真の作用を観ることで、成長を現実に掌握できるようになる。 これが本来の学問である。 現行のいわゆる学問は、事象を単に集積しているだけで学問とは呼べず、本当の学問では実効ある諸力を手中に収めていなくてはいけない。

■06-39

植物、動物、植物に寄生する生物などは、それ自体単独では捉えることはできない。 磁針が常に北を向くことは、地球全体を見てはじめて理解できる。 それと同様に、植物を理解するには、植物、動物、人間、さらには宇宙全体を観なくてはならない。 すべての生命は宇宙全体から生じ、地球にあるものだけから生じるのではないからである。 自然は一つの全体であり、あらゆる方向から諸力が作用している。 この諸力作用は誰の目にも明らかで、それに対し感覚を開くことで自然が捉えられる。 現代学問は狭い世界に入り込みすぎている。 マクロコスモスへの道を見つけることで、いくらかでも自然を理解し、他の事柄も理解できる。

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